資料・古谷経衡(崔洋一との討論)

古谷経衡(1982-)。日本の評論家、著述家。『日本のこれから』


2010年8月14日 NHK総合『日本のこれから』より 4分41秒 (2.95MB)

古谷「日本人は朝鮮人が憎くて併合したわけではない。当時植民地をつくることは普通のことだった」
崔「それによって36年間の植民地支配が肯定されるという考え方は、基本的に歴史を語る資格がない」
小倉「崔監督が歴史を語る資格がないと言ったのは間違いだと思いますよ」

この動画を1990年代前半の辛淑玉の動画、1999年のリュウ(ゾマホン)の動画などと比較してみて欲しい。 徐々に雰囲気が変わってきているように見えないだろうか。

本動画における崔洋一の発言――「歴史を語る資格がない」という発言=態度は、日韓歴史問題について、これまではそれで通用していた、日本人を黙らせることができていたというところに意味がある。

しかしその直後、小倉紀蔵からたしなめられているところからもわかるように、そうしたやり方が通用しなくなってきた、そうした時流の変わり目が、この動画の場面に現われている―と筆者は考えている。

じつは筆者にとって、地上波のメジャーな番組で、日本人が、「植民地支配」について、在日や本国人に向かってここまで真っ向反論を見たのはこの番組が初めてだった。*1

もちろん1980年代90年代にもこのような種類の反論はあったと思うが、そのときの相手は基本的に「進歩的日本人」であったし、しかも「頭のおかしい右翼が自己正当化している」というような図式で見させられていたことが多かった。

しかしこの番組にはもはやその頃のような空気はない。 また見ている側の歴史認識もその当時とは変わっているので「見え方」が異なってくる。しかも相手は在日であり本国人である。

この動画の場面は、日本社会において歴史観のパラダイムシフトが進み、戦後長らく席巻してきた左派史観が、いよいよ通用しなくなってきたことを、図らずも映しだした歴史的一場面であると筆者は考えている。(了)

*1) マイナー番組を含めると、桜井誠がジェネジャンという深夜番組で「植民地支配」について反論したものが筆者が見てきたもののなかでは最初のものである。(2005-6年くらいであったように思うが調査中)