身体が小さいことは、一般に不利に働くことが多い。
スポーツをするしても、歌をうたうにしても、身体が大きい方が有利である。
「柔よく剛を制す」という言葉が柔道でよく使われるのは、
それが身体の小さい日本人が気持ちで負けないための方便だからである。
しかしそのことが逆に柔道文化の一要素にもなっている。
また日本の歌は日本人の微弱な体力にあわせてつくられる。それによってしか出せない情緒がある。
一般には不利と思われる事柄も、こうして独自の文化を生む土壌となる。
文化というものは斯様に身体性を逃れられないし、むしろそれにあわせてつくられる。
身体性が変われば、文化もかわってしまうのだ。